THE
SUBTLE
SYSTEM

精妙な身体の仕組み

私たちの存在には物理的なからだ以外に、心的・霊的ともいえる精妙なエネルギーの次元があります。それらは原子や素粒子にさえ還元しきれない波動のようなもので、東洋では「気の流れ」として直感的に理解されてきました。
サハジャヨガではそれら身体のエネルギーの「精妙な仕組み」を、瞑想をとおして体験的・探索的に理解していきます。ここではその基本的な要素である3つの経路と7つのセンター、およびクンダリーニについて説明します。

3つの経路(ナディ)

身体の左右にはお互いを補うような対称的な性質が備わっており、そのエネルギーの経路は左右が逆転した形で頭部の半球と繋がっています。さらに中央の経路が体の中心を貫いていて、左右のバランスを整える役割を担っています。

左の経路 (イダ・ナディ)

月の経路と呼ばれるイダ・ナディは、私たちの欲求や願い、祈りの経路です。人は生まれてまもなく周りの世界を探索しはじめ、発見し、手触りを確かめつつ身体で学びながら何かを求め続けますが、その力を与え、方向づけするのがこの経路です。私たちの受動性の側面であり、喜怒哀楽の感情、満足感や同一性の感覚、自尊心などを与えますが、本質的には存在そのものの歓びがこの経路に由来します。
この歓びは幼少期には無垢により守られていますが、成長の過程で様々な経験をするなかで感じにくくなることがあります。この経路が浄化され、回復することで再び歓びの感覚が感じられるようになります。

左の経路
中央の経路 (スシュムナ・ナディ)

中央の経路には左右の経路が興奮とエネルギーの枯渇を引き起こすのに対して、それらを鎮静させることでバランスとエネルギーを回復させ成長させる役割があります。車の両輪がアンバランスだと直進できないように、左右の経路のバランスは人の成長や進化にも欠かせません。軸が整うことで余裕が生まれると、潜在的な能力がその人のペースで徐々に開花してきます。その結果、中央の経路は人を全体性へと導きます。個々人や人類をも超えた「大いなるもの」と人間が繋がり合一することでヨガが成就します。

中央の経路
右の経路 (ピンガラ・ナディ)

太陽の経路であるピンガラ・ナディは左の経路の欲求を思考や行動によって活発に表現・実現していく力を担っています。人が成長する中で自分から他者、更に社会・環境へと注意が向くようになり、その過程で探索的に目的を達成する見通しや学習による修得(マスタリー)の能力と関係しています。活動性を担う経路であるため、禍活動によりオーバーヒートを起こしやすく、それらが認知や思考の障害、心身の疾患につながることもあります。この経路を浄化し回復することで言動が落ち着き、多くの次元で真に建設的な繁栄に貢献することが可能になります。

右の経路

チャクラについて

脊柱の最下部から頭頂にかけて、7つエネルギーの集中するセンターがあり、「円盤・ディスク」という意味の「チャクラ」と呼ばれます。それぞれのチャクラには固有の性質があり、その性質には左右と中央の側面があります。
チャクラは概ね神経叢に相当し、自律神経によってコントロールされている臓器にも影響を与えます。サハジャヨガではクンダリーニによってチャクラが浄化され滋養されることで、心身の健康が増進したり、人の持つ潜在的な魅力や能力などの性質が外に現れたりしてきます。

精妙な身体の仕組み

ムラダーラ チャクラムラダーラ チャクラは背骨の最下部にあるクンダリーニの下にあります。「ムーラ」とは、サンスクリット語で「根」を意味し、つまりクンダリーニと呼ばれる内的な母性エネルギーを意味します。このチャクラはクンダリーニを支え、そして保護します。このチャクラが損なわれていると、クンダリーニは他のどのチャクラにも上昇しないといわれます。ムーラダーラ チャクラの基本となる性質は、純真、そして子供のような純真さを持つことからくる生まれつきの英智です。素朴さ、歓び、純粋さ、誠実さ、そしてバランスがこのチャクラを通して人に現れる性質です。このセンターが生殖器官やその組織を支配しているので、性に関する姿勢や行いがこのセンターの力や弱さに決定的に影響を与えます。

 クンダリーニがひとたび覚醒されると、母なるエネルギーへの崇拝の気持ちと、献身の望みが高まってきます。私達のほとんどは、ムラダーラ チャクラがひどく損なわれた状態でサハジャ ヨガに入ってきます。このチャクラはサハジャ メディテーションを続け、浄化のプロセスが進むに従って十分に治すことができます。私達ひとりひとりの中にある母なるエネルギーは忍耐力、思いやりや慈悲の性質を表します。

スワディスタナ チャクラスワディスタナ チャクラは、ナビ チャクラの周りを周回しながら、その周辺を支えています。スワディスタナとナビは一緒に作用しています。ここで私達の創造性のエネルギーが出現します。

 このセンターの非常に大切な役割は、腹部の脂肪分を分解することによって私達の思考のエネルギーを作り出していることです。自分一人ですべてのことを考え、計画しようとするような膨張したエゴを持っているなら、その過剰さが右側を消耗させます。脳がスポンジ状ではなく、石のようになり吸収する力をなくしてしまうのです。すると、創造性が自発的に起こるものではなく、努力するようなものになってしまうのです。それゆえ現代の美術、詩歌や音楽に歓びを与えるような性質が欠けているといわれます。過度に知的な、プレッシャーの強い職場で多くの人が歓びを失っているのは、このような計画や思考の過剰が原因なのです。私達の内的システムが乾ききって(知的で攻撃的に)、右側に傾きすぎてしまっているからです。その結果生じる不均衡が左側(感情)を弱め、私達は鈍感になってしまうのです。右側と左側がともに健全でないと、中枢神経系における思考と感情のバランスを失います。すると私達の行動や考え方が極端に走ることになります。

 スワディスタナ チャクラはナビ チャクラと共に肝臓をコントロールしています。肝臓は私達に注意力を与えることで、からだのレベルだけでなく、精神的にも汚れや毒を浄化し排出する機能を担っています。セルフ リアリゼーション以前は、私達の注意力はほとんど自分自身の外側に向けられていますが、クンダリーニの覚醒により、次第に、自己(スピリット)に注意が置かれるようになってきます。

 エゴがスピリットから注意をそらすようにさせるので、謙虚な気持ちをスワディスタナ チャクラにおいて育てることが大切です。真の謙虚さは、私達の直感的な考えや感情が私達を超えた力によって授けられるものであることを悟らせます。

ナビ チャクラナビ チャクラは、私達の食べ物、家族愛、親としての役割や関わり、金銭の管理、仕事などを指揮するセンターです。中庸から離れた極端な活動は、腹部疾患を引き起こすことにつながります。 安定した満足感はバランスのとれた健康なナビによって得ることができます。私達のアテンション(注意)が瞑想を通して浄化され、自分はスピリットであるという穏やかな満足感が生活に反映されてきます。

 主婦の活動はナビ チャクラの陰の側面に関係しています。妻や母親であることは、家族に無条件に与えるという性質を持っています。その性質に対する尊敬の念や愛、サポートする環境を家族が保つことが大切です。もし夫婦間でどちらかが相手を支配したり、子供が母親を尊敬しなかったり、逆に子供が虐待されると、このチャクラに問題がおき、家族全員に影響します。

金銭や仕事、社会的活動はナビ チャクラの陽の側面に関係しています。過度の経済的な不安や過剰労働などで、このセンターはバランスを崩します。すると、思考や計画が過剰になって、肝臓をオーバーヒートさせます。肝臓が熱くなりすぎると注意が散漫になり、リラックスして集中することが不可能になってしまいます。短気や慢性病、いらいらや心配事が絶えないのは肝臓のアンバランスを示しています。

白米、ヨーグルト、調理された新鮮な野菜、いくらかの鶏肉、そして果物が肝臓を冷やし、浄化するのにとても良いといわれます。皮膚の問題は、肝臓が冷えすぎているのかもしれません。冷えた肝臓には、黄色野菜を摂ります。肝臓における様々な問題には毎日数リットルの水を飲みます。これには毒素を洗い流す作用があります。

ハート チャクラハート チャクラは胸骨の後ろにあり、スピリットを反映しています。すべての人の本質は同じスピリットであり、スピリットにおいては皆同じだと気づくことで、自分自身や他者をより愛せるようになります。子供のように心を開いたままで、いつも歓びの状態で生活することができます。そして、ハート チャクラが浄化されると、恐れのない、寛容な人になります。自分を信じ、自分の誤りを正す自信がうまれます。

 中央のハートチャクラは、安心感や保護を管理しています。私達を病気や負の力から守る抗体は胸骨で作られます。子供の頃、恐怖感を強く持って育つと、大人になっても恐れを持つようになります。それは、中央のハートチャクラが損なわれているからです。その状態が続くと「恐れ」と戦う十分な抗体を身体が作ることができなくなり、肺や心臓の疾患を引き起こすこともあります。

左のハートは、母親が大変重要な影響を与えます。それは母親が子供の最初の安心感や自信を築く存在だからです。もし、子供がまだ小さいときに、母親と死別したり、母親が病気がちだったりして、母親との関係が安心感で結ばれていないと、このチャクラはふさがれてしまいます。

右のハートは、自分の父親の幸福や父親との関係が影響を与えます。もし、父親が自分の責任から逃れたり、責任を負いすぎたりするとバランスが損なわれます。また、ここは、息子、兄弟、父親、夫、そして国民としての義務を遂行する人間の能力を反映します。

両親が自分のハートチャクラにいることを知り、家族の問題から逃げだすのではなく、いつも愛と敬意を両親に示すことが大切です。また、自らが親としての本質をはぐくむことも大切です。

ヴィシュディ チャクラヴィシュディは、自分自身や他人のヴァイブレーションを感じたり、反応したりする能力を支配しています。このチャクラがきれいなら、スピリットとしての自分が、人類と、ひいては全宇宙と同胞であるという一体感を与えてくれます。その一体感が、人との関わりにおいて、親密で優しく愛にみちた、新たな集合意識へと導きます。

 このチャクラをきれいに保つことは難しいといわれます。外的なウイルス、バクテリア、煙や汚染物質に対して体のフィルターとしてこのチャクラが機能しているからです。心理的には劣等感、罪悪感、寂しさ、攻撃性、そして優越感によって損なわれます。このチャクラをきれいに保つには、極端な依存心や感情、何かに対する執着から離れることです。私達は人の言動を管理しているわけでもなく、また人も自分達の考えや行動を非難したり、管理したりすることもないと理解することです。

最も私達が陥りやすいアタッチメント(執着)は、私達のヴィシュディの左側をブロックする罪悪感です。私達は、間違いは成長のカギだと知っていながら「間違いは悪い」と信じるように条件付けられています。間違うことは悪いことではありません。自分の間違いや無知を自覚し、それに向き合い、より正しい態度や知識を学ぶ姿勢が大切です。

ヴィシュディの右の側面は発言を管理しています。軽率でなく、心からの温かい言葉で話すことが大切です。きついことばや、皮肉、ののしり、非難などは、自尊心の低下や罪悪感をもたらし、その結果ヴィシュディ チャクラが閉じてしまいます。

アギヤ チャクラアギヤは第三の眼とも呼ばれ、脳の中央に位置しています。このチャクラが開いて健康であるときは、クンダリーニがそこを通過し、思考の波を鎮静させます。つまり、思考と思考のあいだの空白が長くなるのです。するとこの空白、静けさに注意力が結びつけられて、完全な注意深い状態であると同時に思考のない意識に到達します。そして、自然に満ちている生命のエネルギーをよりよく受け取れるようになります。あなた自身のヴァイブレーションが驚くほど増し、強い肯定的な力になります。

 このチャクラをブロックする主な問題は、エゴとスーパーエゴ(条件付け)です。右側のエゴは、精神的、身体的な活動のし過ぎによって膨れ上がり、左側のスーパーエゴは、感情的な活動のし過ぎで風船のように膨れあがります。これが膨れ上がった状態では、真ん中のチャンネルがブロックされてしまい、クンダリーニがそこを通って頭頂部を突き抜けるのを止めてしまいます。

エゴがあまりに膨れ上がってしまうと、傲慢な態度や攻撃的な振る舞いなど、問題のある行動があらわれてきます。これらのネガティヴな態度は身体の中の細胞に緊張をもたらし、部位によっては腺や内蔵の機能不全の主な原因になります。この機能不全が病気になっていくのです。私たちの精妙な身体の中でつくりだされた緊張を弛めるために、私たちは「許し」というポジティブな態度を育成していきます。ハートからくる「許し」は精妙な身体の中で、「慈悲」という形で肯定的な強い力を送っています。「許し」は、ほかのいろいろなチャクラを浄化するのに不可欠な治療です。過去からの緊張は、アグニャ チャクラのみならず、身体中に蓄積する傾向があるからです。

アギヤ チャクラをブロックするもう一つのコンディショニング(条件づけ)は、「心配」です。心配することが不安を身体の中に送り、それによっても精妙な身体がスムーズに機能することを障害する緊張が生まれます。心配性の習慣は、自分自身で全てを考えやっていかなければならないという、エゴ中心の間違った信念から来ます。そうではなく、瞑想によって思考を超えた意識の中にいるべきです。私達が、世界中のすべてにみなぎる神聖な愛のエネルギーとつながった時にこそ、心配していた問題は、エゴ中心の考えで解決していた時よりもはるかに効果的に解決されるのです。

サハスララ チャクラサハスララ(sa-has-ra-ra)チャクラは、頭上で王冠が頭を包みこむよになり、全体として統合されます。クンダリニが頭上の大泉門を通過するとき、リアリゼーションが現れてきます。注意力がサハスララにあるとき、自分の全体としての自己、つまりスピリットに触れているのです。サハジャ ヨガのゴールはスピリット―スピリチュアルな存在―もはやエゴとスーパーエゴの間で行ったり来たりすることのない―になることです。私たちのスピリットは結局私たちを究極の自由に導きます。サハスララはこの自由が授けられる約束の地なのです。

 サハジャ ヨガの初心者は、クンダリニが上昇することで始まるセルフ リアリゼーションを与えられます。普通、まず少数のクンダリニの糸が上昇して、チャクラがわずかに開きます。毎日の瞑想とほかのシンプルなテクニックが、徐々にチャクラを浄化していきます。それらがもっと開くにしたがって、より多くのクンダリニの糸が上昇していきます。ヴァイブレーションを感じる能力も磨かれてきます。時々、チャクラから手の指にちくちくした感じとか、しびれる感じが送られてきます。また、体内のチャクラのヴァイブレーションを感じることもあります。また時には、頭頂部から涼しい風が流れ出ているのを感じます…クンダリニがチャクラを浄化している最中には暖かい風を感じます。

神聖さがあなたのスピリットとともに働くこのシステムが浄化されていくに従って、生命のヴァイブレーション(波動)に次第に気づくようになります。美や自然(木々や山々、花、空や雲など)から発せられている肯定的なヴァイブレーションに対して開かれ、敏感になります。自分自身のことについてヴァイブレーションの助けを借りて正しい決定をすることができるでしょう。また、他者の状態を感じることができ、いつ、いかに彼らを援助すればよいか感じられるようになるでしょう。日常のあらゆる局面において、賢明な分別の力を育てることができます。

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Shri Mataji Photo

クンダリーニ

kundalini脊柱の最下部には仙骨という骨があり、その中にクンダリーニという力が眠っていると言われます。「クンダル」とは渦巻きの意味で、「渦巻状のエネルギー」という言葉の女性形で「クンダリーニ」となります。それは母性の反映であり、誰の中にでも生まれながらに備わっている母なる自然の力です。
自然が命を産みだし育み、守り、導く性質を持っていて、成長と進化をもたらす純粋な望みの力であると同時に、進化を阻害する要素を浄化する性質があります。サハジャヨガでは、シュリマタジのおかげでこのクンダリーニを安全に目覚めさせることができます。 ひとたび目覚めるとクンダリーニは中央の経路を昇り、頭頂部から抜けていきます。これにより個人の殻を破り、個人を超えた「大いなるもの」とつながることができます。この「合一」が本来「ヨガ」という言葉の意味するところなのです。

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